脱毛は施術を行うとすぐに効果を実感でき、数回で施術は終わると思っている人も中にはいるかもしれません。しかし実際は毛質によって脱毛の効果が出る期間が異なります。効果が出にくい毛質の人は何度か施術を受けないと「ムダ毛が目立たなくなった」と実感できない場合もあります。さらに毛質だけでなく、箇所ごとにも効果の感じ方は違います。
そこで今回は脱毛の効果を実感しにくい理由や毛周期との関係性、効果が出るまでの回数などについて詳しく解説していきます。
脱毛の効果を実感しにくい理由
脱毛の効果を実感しにくい理由としては、毛周期との関係、ムダ毛の種類との関係、使用する脱毛機の関係の3つが考えられます。
1.毛周期が関係している
ムダ毛には「毛周期」と呼ばれる生え変わりのサイクルがあります。毛周期は「成長期」「休止期」「退行期」の3種類にわかれており、脱毛機の光はこのうちの「成長期」にあたるムダ毛にアプローチして脱毛するマシンがほとんどです。
脱毛機の光は、メラニン色素に反応して照射を行い、毛根の組織に熱を与えムダ毛を抑制する仕組みです。そのため毛が肌の表面に出ていない休止期や、抜けかけて細くなっている退行期には脱毛の効果は与えにくいのです。
毛周期のサイクルは毛の全てが同じタイミングではないため、脱毛の施術を行う際に、成長期に該当しているムダ毛は一部です。そのため1回ではなく何度か施術を行わないと、ムダ毛全体の脱毛の効果は実感できません。
毛の種類が関係している
脱毛の効果を実感しにくい理由は毛周期だけでなく、ムダ毛の種類も関係しています。先述したように、脱毛機の光はメラニン色素に反応するため、色が薄くて1本が細い産毛は効果を得づらいです。また、ムダ毛が密集しているVIO部分などは、1本1本が太くても量があるため脱毛の効果を感じられるまでに時間がかかります。
このように、産毛のように毛が細い箇所や毛が密集して生えている箇所は、他の箇所よりも効果を感じにくい傾向があります。具体的には顔、背中、白髪が多い箇所は効果を感じにくいでしょう。
使用している脱毛機が関係している
脱毛効果の感じにくさは、使用する脱毛機も関係しています。例えば自宅で使える「家庭用光脱毛器」は、サロンに比べると効果を感じにくい場合が多いです。光脱毛ができる点は変わりませんが、安全に使用できるよう、1回で照射できる光の出力レベルはサロンより低めに設定されています。
出力レベルが低ければ当然効果も低くなるので、サロンより家庭用の脱毛器のほうが脱毛効果を感じにくいということです。
出力レベルだけでなく、「きちんと照射できていない」「ライトの当て方が間違っている」なども、家庭用の脱毛器で効果を感じにくい原因のひとつです。そのほか、メーカーや機種によっても効果の感じ方には差があると覚えておきましょう。
脱毛の方法による効果の違い
脱毛の効果は「脱毛の方法」によっても異なりますので、「医療脱毛」「光脱毛(サロン脱毛)」「脱毛器」の3つにわけて説明します。
医療脱毛の場合
医療脱毛では、医療用のレーザー脱毛機を使って施術を行います。先ほど説明したように毛周期に合わせて施術を行い、成長期のムダ毛に脱毛効果を与える方法が基本です。そのため、1回で脱毛が完了することはなく、何度か施術を受けることで徐々に脱毛効果を実感していきます。効果が実感できるまでの期間は、サロンと比較すると短く、3~5回程度が平均です。
サロンで使う光脱毛機より、レーザー脱毛機のほうが1回あたりの出力レベルが高いため、少ない回数で効果を実感できます。医療脱毛で使うレーザーには、「ダイオードレーザー」「アレキサンドライトレーザー」「YAGレーザー」の3種類あり、このうちYAGレーザーがより効果を感じやすいレーザーです。
光脱毛の場合
光脱毛では、光脱毛機と呼ばれるマシンを使ってムダ毛に施術を行います。こちらも毛周期に沿って施術を行うのが基本で、何度か通わないと効果は実感できません。
光脱毛機は医療用のレーザー脱毛機と比較して、施術1回あたりの出力が弱めに設定されています。その分施術時に痛みを感じにくいのがメリットですが、効果を感じるまでの期間が医療脱毛より長いのがデメリットとなります。
光脱毛の場合は4回目以降に効果を感じ始める人が多いですが、毛質・肌質によって異なるので注意しましょう。
脱毛器の場合
家庭用の脱毛器の場合も毛周期に沿って施術を行います。脱毛サロンで使う脱毛機と同じ光脱毛ができますが、1回あたりの効果はサロンよりもかなり低いのが特徴です。
先述の通り同じ光脱毛でも効果が低いのは、誰でも安全に取り扱えるように作られているためです。どの家庭用脱毛器でも、サロン以上の効果は感じられないので注意しましょう。効果が実感できるまでの回数は7〜10回という場合が多いようです。
なぜ1回では効果が出ない?毛周期との関係性
ここでは脱毛と毛周期の関係性についてもう少し詳しく見ていきましょう。毛の生え代わりには以下のようなサイクルがあります。
毛周期(ヘアサイクル)
- 成長期1・・・毛母細胞の分裂が始まる。皮膚の中で毛が成長し始める。
- 成長期2・・・さらに毛が成長し、皮膚の表面に出てくる。
- 退行期・・・毛の成長が止まる。
- 休止期・・・毛が抜け落ちて、次の成長を待っている状態。
このサイクルは繰り返しており、どの毛も必ずいずれかの周期に該当しています。
施術によって脱毛の効果があるのは成長期1、2にあたるムダ毛です。成長期1、2に当たる毛は全ての毛のうち約15〜20%と言われています。つまり、1回の脱毛で毛全体のうち15〜20%程度しか脱毛の効果を与えられないため、1回では効果を実感しにくいのです。
脱毛の効果が出るまでの回数目安は箇所によっても違う
脱毛の効果が出るまでの回数の目安は、箇所によっても異なります。一般的には以下のような回数が目安です。
光脱毛で効果が出るまでの目安の回数
医療脱毛で効果が出るまでの目安の回数
上記のとおり、光脱毛より医療脱毛のほうが、効果が出るまでの回数が少ない傾向があります。これは1回あたりの効果の強さに差があるためです。
また、顔と脇はだいたい同じくらいの回数ですが、VIOは効果を感じるまでの回数が他の箇所より少し多めです。これはVIOのムダ毛は密集しているためムダ毛を減らすには他の箇所よりも回数が多くなるためです。
毛質による脱毛の効果の違い
では次に、毛質による脱毛効果の違いについて詳しく説明します。
太くて濃い毛は効果を感じやすい
光脱毛機もレーザー脱毛もどちらもメラニン色素に反応し光やレーザーを照射します。メラニン色素に反応するということは、太くて濃い毛ほど反応しやすく、照射の熱を毛根の組織へ与えやすいと言えます。
具体的には
は脱毛効果が感じやすい箇所です。
ただしムダ毛が密集しすぎていると、毛根の一部が隠れてしまうため、1回あたりの効果が低くなってしまうことがあります。効果の違いをチェックするときは、ムダ毛の濃さや太さだけでなく、密集度にも注目しましょう。
産毛は効果が実感しにくい
メラニン色素に反応する性質を持つ脱毛機では、産毛や、細い毛は効果が実感しにくい傾向があります。産毛は色が茶色に近く、脱毛機が認識しにくいため照射されにくい毛です。細い毛も同様で毛のメラニン色素を認識しにくいです。
脱毛機の出力レベルを上げれば、産毛や細い毛にも脱毛効果を与えることは可能です。しかし、レベルを上げるほど痛みを感じやすくなり、肌への刺激も強くなります。そのため、1回あたりの出力レベルを上げるのではなく、施術回数を増やす方法で検討したほうが良いでしょう。
白髪は効果が出ない
メラニン色素が全くない白髪は脱毛の効果は与えられません。出力の高いレーザー脱毛であってもこれは同じです。もし体毛の中に白髪が交じっていたら、白髪のみ残ってしまうことは事前に知っておきましょう。
脱毛の効果が出にくい人の3つの特徴
脱毛の効果が出やすいか、出にくいかは人によっても異なります。ここでは脱毛の効果が出にくい人の特徴を3つご紹介します。
自己処理をし過ぎている
脱毛の施術を受ける際は、事前に施術箇所の自己処理をしてくるよう説明を受けます。自己処理をカミソリや電気シェーバーで行い、成長期の毛が肌の表面で剃られている状態であれば、脱毛の効果を得ることができます。
しかし脱毛ワックスや毛抜きなどで毛そのものをなくしてしまったり、除毛クリームなどで根元に近い部分から除毛してしまうと、退行期や休止期に近い状態になってしまいます。その状態で照射しても効果を実感しにくくなってしまうため、くれぐれも自己処理のし過ぎには注意してください。
肌のコンディションが悪い
肌のコンディションが悪いと、脱毛機の光を照射しても効果が出にくくなってしまいます。
例えば以下のような状態はコンディションが悪い一例です。
- 肌が乾燥している
- 赤み・かゆみが出ている
- 肌荒れを起こしている
サロンによっては赤みや肌荒れを起こしている箇所は照射を行えない場合もあります。
また脱毛をした後の肌はいつもよりも乾燥しやすい状態になっていますので、次回以降の施術に影響を与えないよう、術後はしっかりと保湿ケアをしましょう。
出力が弱い脱毛機を使用している
光の出力レベルが低い脱毛機は、当然ですが効果も弱い傾向があります。家庭用の光脱毛器は安全上、サロンでの光脱毛よりも弱い設定がされています。家庭用光脱毛器で効果が実感できない場合はサロンの光脱毛などを検討してみましょう。
脱毛による効果を高めるポイント
最後に、脱毛効果を高めるポイントを2つ解説します。
毛周期にあわせて脱毛に通う
脱毛は毛周期に合わせて施術を行うと効率よく行えます。そのため一度通い始めたら、毛周期にあわせて施術できるよう、できるだけ予定を変更せず通い続けましょう。
一度休んだり予約をキャンセルしたりすると、毛周期に合わせた施術スケジュールがずれてしまう可能性があるので注意してください。
肌荒れや日焼けなどのスキンケアに気を付ける
サロンによっては肌荒れを起こしていたり、日焼けをしたりしていると、その部分を避けて施術を行います。
施術を行えた部分と行えなかった部分とで効果にムラが出てしまわないように、日頃から保湿ケアや紫外線ケアに力を入れておくことも大事です。保湿クリームは低刺激の物を、日焼け止めだけでなく日傘など物理的に紫外線をカットすることも忘れないようにしましょう。
まとめ 毛質や脱毛方法を確認しておこう
脱毛の効果は毛質や脱毛方法によって異なります。また毛には毛周期があり、1回の施術で脱毛の効果を与えることができる毛は全体の15~20%程度と言われています。そのため脱毛は1回の施術では実感しにくく、複数回行うことで徐々に脱毛を実感するでしょう。
また肌の状態によっても脱毛の効果が変わるので、施術期間中は特にスキンケアを念入りに行うことが大切です。
銀座カラーでは、お客様のことを第一に丁寧なカウンセリングを心掛けています。ムダ毛の悩みや、毛による肌トラブルなどにお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
監修者:院長 佐藤玲史
東京都生まれ
国立 東京医科歯科大学 医学部医学科卒
大手美容外科にて千葉・新宿・上野の各院で院長・顧問を歴任
有名美容外科の銀座にて院長就任
2020年4月銀座にてOriginal Beauty Clinic GINZAを開院
資格・学会
日本美容外科学会認定専門医(JSAS)
日本美容外科学会会員(JSAS)
日本美容皮膚科学会会員
日本抗加齢医学会会員
国際抗老化再生医療学会会員
日本再生医療学会会員
高濃度ビタミンC療法認定医
BOTOX VISTA認定医
日本化粧品検定一級
監修者からのコメント
現在、脱毛ニーズは以前と比べて非常に高まってきていまが、本記事にもあるように脱毛は、複数回の処置が必須です。
回数については、脱毛部位による差・脱毛方法による差・肌質による差など、多くの要因によって違いが生じます。
更に毛周期に見合ったタイミングかどうかも脱毛効果に差が生じて回数に開きが出てきます。
「永久脱毛」と言っても「将来的に永久に毛が生えてこない」わけではありません。
「永久脱毛」は日本では定義がなされていないですが、アメリカでは以下の通りに定義されています。
〇「3回の脱毛後、6ヶ月後に2/3以上の毛が減少した場合を永久脱毛とする」【FDA:アメリカ食品医薬品局(Food&Drug Administration)】
〇「最終脱毛から1ヶ月後、毛の再生率が20%以下の場合を永久脱毛とする」【米国電気脱毛協会(American Electrology Association)】
つまりどんなに回数を重ねても永久的に毛が生えてこなくなるとは定義されていないことも知っておきたいところです。
ご自身で気にならなくなるレベルを最終目標として脱毛を行うのが賢明と言えるでしょう。