銀座カラー名作に学ぼう 今週の、あのセリフ

本当の幸せとは?自分を生きることの本質を問う名言

 

「びしょぬれの同情なんかいらないもの。だとしたら無視されるか、笑いものになったほうがましよ」
(映画『へルタースケルター』より)

 

カリスマ的な人気を持つ美女であっても、不幸な理由。

 

女子中高生たちに絶大なる人気を誇るカリスマ・ファッションモデルりりこ(沢尻エリカ)。すべては自分の意のままに……という完全なる女王様気質で、周囲をブンブン振り回すことに快感さえ覚えている彼女。でも、どんなワガママや気まぐれも「売れっ子りりこ」のすることだから、なんだって許されてしまいます。

 

しかし、りりこには、ある重要な秘密がありました。実は彼女、全身整形のサイボーグ美女だったのです。著名人や政界・経済界の有力者たちが密かに通う美容クリニックにて、さまざま違法な処置も受けていました。そのため、薬の副作用で精神不安定になり、また肌にも副作用から痣などがあちこちに浮き出しはじめ、次第に「自分が崩壊していくことへの恐怖」に苛まれるように……。

 

くわえて、りりこ出演だったCMの新キャラクターに、事務所の後輩モデルが採用されるなど、「モデルの地位」も危ぶまれ、いよいよ精神的に追いつめられていきます。そこで、マネージャーの「羽田ちゃん」とその恋人を操り、姑息な手段で後輩にひどい仕打ちをしていきます。

 

恋人だった御曹司は「親の決めたことだから」と政界大物の娘と婚約したりと、次第に身内にも裏切られてしまう、りりこ。彼女の精神崩壊は、もうすでに誰の手にもとめられないほどにすさまじいものとなっていきます。

 

薄っぺらな優しさよりも欲しいものって?

 

「びしょぬれの同情なんかいらないもの。だとしたら無視されるか、笑いものになったほうがましよ」

 

このセリフは、りりこが世間から向けられた奇怪な目や裏切りに対して吐いた捨て台詞のようなもの。中途半端な慰めよりも、いっそうのこと「りりこって終わりだよね」と笑われたほうがまし……という、ある意味潔さが感じ取られる言葉です。

 

でも、普通はここまで強くはなれませんよね。無視されたり陰で笑われたりするよりも、どんなに嘘っぱちで薄っぺらくてもいいから、気持ちを寄せられたほうが救われる、はず。

 

……ん?いや、そうか。書いているうちに、なんだかそうじゃない気がしてきました。すぐにでも薄っぺらい嘘の優しさを与えられるくらいならば、最初から何もされないほうがいいのかも。だって嘘の優しさなんてすぐに剥がれてしまうのだから、余計に寒さが凍みてくるもの。

 

そう考えると、エキセントリックで強気なりりこのこの言葉、実は「自分を生きること」においては核心を得ているようにも思えます。これは恋愛においても同じ。すでに気持ちが離れているにもかかわらず、中途半端な同情だけでつながっている関係性なんて、心が冷えていくばかり。だったらきっぱりと距離をとるほうが、自分らしく生きることができるのかもしれません。

 

りりこみたいに、プライドの塊だけで生きていくってけっこう大変だけど、でも一方で、こんなにもはっきりと線引きができる女性って、ある意味、自由で羨ましくもありますよね。

 

映画のもととなったマンガ家・岡崎京子さんの原作『へルタースケルター』は、マンガ史上に残る名作でもあるので、こちらもぜひ合わせてチェックしてみてください!

 

 

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