銀座カラー名作に学ぼう 今週の、あのセリフ

恋に仕事にちょっと疲れ気味。そんな時に選んでほしい映画

 

若者「歳をとっていいことってある?」
アルヴィン「目も足腰もダメになって、いいことなんて何もない。だが、経験を積んで”実と殻”の区別がつくようになる」
(映画『ストレイト・ストーリー』より)

 

旅は人に気づきを与え、成長させる

 

アルヴィン・ストレイト(リチャード・ファーンズワース)は、娘のローズと暮らす73歳の老人。高齢ということもあり、日頃から腰が悪く、一度倒れようものなら誰かに助けてもらわないことには身動きひとつとれません。

 

そんなある日、アルヴィンのもとに「兄が心臓発作で倒れた」という知らせが届きます。実兄とは若いころから折り合いが悪く、ここ10年来は音信不通のまま、お互い年を重ねていました。

 

兄が住む家までの距離は350マイル(約560km)。アルヴィンは兄に会いにいく決心をします。しかしアルヴィンは運転免許を持っておらず、目も腰も不自由な高齢の老人。彼の唯一の交通手段は「時速8キロの小さなトラクター」だけです。そこでアルヴィンは、 トラクターに「木材でつくったトレーラー」をくっつけてキャンピングカーのごとく改造し、一人で「350マイルの旅」を決行します。彼を奮い立たせたのは「兄と和解し、星空の下で語り合いたい」という痛切な思いでした。

 

トラクターのブレーキが故障して坂道を暴走するなどさまざまなハプニングに見舞われますが、そのたびに人と出会い、助けられるアルヴィン。道中で出会う人々はトラクターで長旅をする彼を奇怪に思いながらも、声をかけ、助け合い、含蓄あるアルヴィンの言葉に静かに耳を傾けます。そのやりとりのひとつがご紹介のセリフ。

 

若者「歳をとっていいことってある?」
アルヴィン「目も足腰もダメになって、いいことなんて何もない。が、経験を積んで”実と殻”の区別がつくようになる」

 

そう! 年を重ねるって悪いことばかりではないのです。若いころは「何がわからないのか、それ自体もわからない」ことがよくあります。しかし年を重ねて経験値があがると、「何がダメなのか」がなんとなくわかるようになるんですよね。

 

愛することと、許すこと。このふたつを経験すれば人生上々

 

恋愛も同じ。「実のある恋愛か、殻だけの恋愛となるのか」それがわかるようになるのが年の功。でも、わかったからといって「ダメな恋愛をしない」というわけでもありません。不幸な恋愛とわかっていながら飛び込んでしまうことだって大いにありますから。

 

この現象を「恋愛に臆病になった」「ダメな恋愛にハマってばかりいる」と嘆く女性も多いのですが、自分の選択をもっと誇ってほしいと思います。だって人は「誰かとの関係性」によって成長していく生き物だから。どんな恋愛にも「得たいもの」があったから飛び込み、そこで「愛すること」と「許すこと」を学ぶはずなのです。これが「実と殻の区別がつく」ということなのではないでしょうか。

 

この映画、「最近ちょっとお疲れ気味だなあ」という時におすすめの一本。延々と続く一本道、風の行方を知らせるように揺れる小麦の穂、トラクターの脇をすり抜けていく自転車レースの車輪の音、焚き火、満天の星空。なんでもない風景が映し出されるたびに、頭のなかでもつれていた何かがスルスルとほどけていく感覚に見舞われ、観終わったころには”癒やし”に優しく包まれているはず。

 

そうそう、もうひとつ大事なエピソードが……。このお話、実話をもとにつくられているのです。アルヴィンじいちゃん、すばらしい!

 

ぜひ、仕事に恋愛にと、岐路で迷った時に選んでほしい一本。目にするすべての光景、すべての出来事には「愛と許し」が満ちあふれていることに気づける映画です。

 

 

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