銀座カラー名作に学ぼう 今週の、あのセリフ

どうして男性は分かってくれないの? そんなイライラに効く言葉

 

「愛を見つけるためには、その感情を持つことのみよ。ただし、相手が自分にふさわしいかどうかに気をつけなさい」(映画「ブルーバレンタイン」より)

 

女が苛立つ理由を男は理解してくれない!

 

あるカップルの出会いから結婚、破局までを描いた『ブルーバレンタイン』。こう書くと「なんだ、平凡な話ね」とあくびが出そうですが、最初から最後までえぐるような痛みが走り、呼吸するのも苦しくなるほどの作品なのです。

 

ディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)は、かわいい娘を持つ結婚7年目の夫婦。かつては夢中で愛し合った仲なのに、妻には笑顔が、夫には野心が消え、今では冷えきった関係に……。互いに不満を募らせながらも、平穏で退屈な家庭生活を何とか守ろうとしますが、崩れ落ちていくものにはなす術がなく、静かに破滅へと向かっていきます。

 

この一連の流れが、とにかく痛い。女性は男性にイラつき、男性は「彼女が不機嫌な理由はコレか!?」と的外れなフォローをして、さらに女性を苛立たせる。

 

おそらくどんなカップルも一度は経験するのではないか、というほどのリアルなすれ違い。そんな些細なことでダメになるの? と驚愕する男性もいるかもしれませんが、ダメになるんです! だって男性って、どんなに説明しても「イラついている本当の理由」をきちんと把握してくれないんだもの。いつまでたっても気持ちは平行線のままで、交わることがありませんから。

 

紹介したセリフは、大学生時代のシンディが、祖母と恋愛について話をした時、祖母が彼女に伝えた言葉です。ディーンと出会う前の当時の彼女には、同級生のボーイフレンドがいましたが、ほとんど体だけのつきあいでした。誰かを心から愛するということを知らないシンディが、祖母に「両親のようになりたくないわ」とつぶやきます。

 

「かつては愛し合っていたに違いないけど、私が生まれる前には完全に冷めてしまっていた。そんな風に消えてしまう感情をどうして信じられるの?」(シンディのセリフ)

 

祖母はシンディに「愛を見つけるには、愛を感じてみるしかない」と伝えます。ただし、その相手が自分にふさわしいかどうかは気をつけなさい、と。

 

愛が煮詰まらないためには

 

妻と子どもを愛し、家庭を守ることだけに満足して「それ以上を望まない」夫と、家族の未来のためにも「それ以上を望む」妻。

 

この映画、男性が見たら「なんと身勝手な女なんだ」と憤怒するかもしれません。果たしてシンディは単に欲張りなだけなのでしょうか。シンディは、「愛は冷めていくもの」ということを幼い頃から身をもって知っていました。だからこそ、愛の温度が低くなり始めた時に「やるべきこと」がわかっていただけなのだと思います。

 

なぜ女は常に不機嫌なのか。男性には、もはやミステリーかもしれません。でも女性にはシンディの気持ちがわかるはず。愛を知るために愛したけど、男は愛したことだけで安心している。そのことに苛立ちと絶望を感じるのです。煮詰まるだけの愛にはうんざりするのが、女性なのです。

 

この映画、途中でギブアップしたくなるほどの生々しさで溢れているのですが、合間に挟み込まれるふたりの恋愛初期のシーンがなんとも瑞々しくて美しい。

 

飴と鞭の繰り返しで、思わずラストまで引きずり込まれるように見てしまう、そんな作品です。

 

 

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