銀座カラー名作に学ぼう 今週の、あのセリフ

愛おしい瞬間を大切に。男と女の恋するタイミング

 

「心から愛している。でも、もう好きじゃないの」(映画「ワン・デイ 23年のラブストーリー」より)

 

男女の間に友情は成立する?

 

「男と女の間に友情は成立するか」。

 

この普遍のテーマ、みなさんはどのように考えますか? この映画では、1989年から2012年までの23年間、時代の変化とともにひと組の男女の友情が描写されています。

 

主人公であるふたりの出会いは、1988年7月15日。真面目な女子大生エマ(アン・ハサウェイ)と、プレイボーイのデクスター(ジム・スタージェス)は、大学の卒業式で初めて言葉を交わします。実はエマはずっとデクスターに想いを寄せていました。一方、デクスターは卒業式で初めて彼女の存在を知ります。卒業式後のどんちゃん騒ぎで意気投合したふたりは、「毎年この日に、連絡を取り合おう」と約束をします。

 

舞台となるイギリスでは、7月15日は『聖スウィジンズ・デー』という記念日。この日が晴れか雨かで、その後40日間の天気が決まるのだそう。卒業式と記念日が重なった7月15日をふたりの”出会い記念日”にしようということになったのです。

 

彼女はデクスターへの恋心を隠しつつ、そしてデクスターはエマの気持ちに気づきながらも、長年にわたって友人関係を続けていきます。

 

その後、デクスターはテレビ司会者という華やかな職を得ますが、女と酒に溺れたりと堕落な日々を送ります。一方、エマは教師をしながら作家への夢を諦められずにいます。次第にデクスターは、エマに電話しては愚痴や泣き言ばかりを言うように……。彼のダメぶりに半ば呆れながらも、絶対に見放すことのないエマ。なぜなら、彼女には恋愛感情を超えた”深い愛”が芽生えていたから。

 

女はいつだって最上級の告白を待っている

 

そんなデクスターに、自業自得というべきか、さまざまな不運が襲ってきます。あんなにモテ男だったデクスターの元からは、女性たちがひとり消え、ふたり消え……。

 

仕事も落ちぶれ、八方塞がりな彼が、なんとエマに告白めいたことをするのです。デクスターはやっと「自分のことを大事に思ってくれる人が、ずっと側にいたではないか!」と気づくのですが、エマからしてみたらたまったもんじゃありません。彼女の気持ち、女性だったらわかりますよね?

 

そこでエマが口にしたのがこれ。「I love you so much, but can’t …like you any more.(心から愛している。でも、もう好きじゃないの)」。

 

このシーン、きっと男性はキョトン……とするのではないでしょうか。

 

一方、女性は胸がスカッとする反面、チクチクした痛みも感じるはず。彼のことはいつも気になるし、ずっと大切な存在であることには変わりない。だけど「あなたとともに生きる覚悟はもうないわ」ということをエマは伝えたのだと思います。だって、いろんな女性との関係も見せつけられたエマは、これまでたくさん傷ついてきたのです。それなのに自分が寂しい時だけ、彼女の気持ちを利用するかのように「愛している」と言うなんて! 

 

デクスターはこの時、アプローチの仕方を間違ったように思います。それは、「他に誰もいなくなったから」という消去法でエマを選んだように感じてしまうから。「最初から、君じゃないとダメだったんだ!」と、跪いて最上級の告白をすべきだったのではないかしら。

 

……と、ここで映画に話を戻します。このあとふたりは、観る者の想像を超える結末を迎えます。あまりの衝撃的なラストに呆然としつつ、作品を観終わった後はこんな思いを抱くはず。「愛おしい瞬間を大事にしよう」と。秋にぴったりの、ちょっと切ないラブストーリーです。

 

 

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