銀座カラー名作に学ぼう 今週の、あのセリフ

愛する意味について答えを知っているのは誰?

 

「男は魅力を感じた人間を愛するようになるが、女は愛した人間に魅力を感じるようになる」(映画「セックスと嘘とビデオテープ」より)

 

愛するから魅力を感じるのか。魅力的だから愛するのか。

 

有能な弁護士を夫に持ち、なに不自由ない生活をしている主人公アン(アンディ・マクダウェル)。世間から見ると、優雅なセレブ妻のように見えるけれど、実はセックスレスと鬱病に悩み、精神科でカウンセリングを受ける日々。

 

しかもあろうことか、夫はアンの妹と不倫中。そんなある日、夫の大学時代の友人・グレアム(ジェームズ・スペイダー)が突然やってきます。独身で風変わりな彼に次第に興味を抱くアン。彼が「新居を探す」とのことでアンは夫のかわりに、グレアムの家探しを手伝います。

 

出会って間もないのにシンパシーを感じたのか、休憩で立ち寄ったカフェで”告白ごっこ”を始めるふたり。夫婦仲がうまくいっていないことをオブラートに包みつつ、男女の愛について憂うアンに、グラハムは「何かの本で読んだ請け売りだけど」と前置きして、こう言ったのです。

 

「男は魅力を感じた人間を愛するようになるが、女は愛した人間に魅力を感じるようになる」

 

なかなかジワッとくる台詞です。何度も反芻しないと理解できないような……。 男は「愛よりも欲」を感じるようになっていて、愛はそのあとについてくる。しかし女は「愛」を感じて、そのあとにいろんな感情をプラスさせていく……ということなのでしょうか。

 

愛する意味について誰が答えを知っているの?

 

グラハムの言葉に対して、アンの反応が実に大人っぽい。
「God.that’s beautiful. I like that.」(それは素敵ね。気に入ったわ)。

 

ピンとはこないけど、いい響きね。気に入ったわ……という感じ。紹介したグラハムのセリフだけでなく、アンのこの返答までを含めて、なんとも印象深いシーンなのです。なにかが始まる時はいつだって、こんな風に静かでしっとりとした空気をはらんでいるものです。

 

「それって素敵ね。気に入ったわ」。いつの日か、男性に余裕の態度で言い放ってみたいセリフ。グラハムのように気の効いた言葉を口にしてくれる男性がいたら……のお話ですが。

 

その後アンは軽い気持ちで彼の家を訪れるのですが、そこにはなんと、不特定多数の女性が性的な問題について語っているビデオテープが山のように保管されていたのです。衝撃を受けて、以来グラハムを避けるようになったアン。しかしふたりは「互いに欠けている部分」を補うように、再び惹かれあっていきます。きっとグラハムは最初からアンを魅力的に感じ、またアンは最初からグラハムに愛を感じていたのでしょう。

 

何度観てもピンとこなくて、でも観る度に印象が変わる不思議な映画のひとつ。「愛ってなんだろう」と思った時、ぜひ観てほしい一本です。「愛については誰も答えを知らない。ただ愛を知るために誰かがいる」そんなことをしみじみ感じさせてくれる作品です。

 

 

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