銀座カラー名作に学ぼう 今週の、あのセリフ

「失うこと」の意味を知る。失恋の痛みを和らげてくれる名言

 

「君は本当の”失う”という喪失感を知らない。それは自分自身以上に愛する者があった人にしかわからないものだから。君は、その悲しみと愛を知らないんだ」
(映画「グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~」より)

 

本当の喪失感って?

 

ウィル・ハンティング(マット・デイモン)は、世間でいざこざばかりを起こすアルバイト清掃員の青年。ケンカや騙しを繰り返しては鑑別所送りになるという「落ちこぼれ人生」を歩いていましたが、本当の彼は有名大学の教授たちをうならせるほどの”天才”だったのです。

 

ウィルの素行の悪さは、幼少期の深刻な出来事が原因となっていました。彼はカウンセリングを受けるべく心理学の教授ショーン(ロビン・ウィリアムズ)の元へ通い、ふたりは次第に心を通わせるようになり……。

 

上記のセリフは、なかなか心を開かず悪態ばかりついているウィルに、ショーンが放った言葉。ずば抜けた頭脳を持っているけれど「それ以上、それ以外の、経験だけが知る感覚」が大きく欠落しているウィル。世の中のすべてを知っているかのような傲慢な彼に、ショーンは”喪失感”の真の基準を教えたのです。

 

失恋の悲しみは「自己愛」の痛み

 

失恋の経験がある人ならば誰にでもわかると思います。全身が張り裂けそうな痛み。それなのに心は、そのそばから砂のようにこぼれていくような不毛感しかありません。しかし、ショーンによるとそれは「本当の喪失」ではないらしいのです。

 

「そんなことはない! 誰よりも愛していた。得難い相手だったのだから、失って苦しいのは当然だ」とショーンのセリフに反論したいところですが、「自分以上に相手を愛していたか」と問われると、返す言葉がないような気もします。

 

だって痛みのほとんどは「もう彼から愛されていないという現実を受け止められない苦しみ」だから。自分を愛していない彼でも「愛している」気持ちが勝っていれば、本来は自分の心も満たされていなくてはいけないのです。……そんな境地に立つなんて、神業に等しいですよね。

 

しかしこの映画によると「自分以上に愛するものを失った」人たちは、悲しみだけではなく”愛”にも満たされているようなのです。だからこそスクリーンのなかのショーンの表情は、穏やかな優しさをたたえています。

 

悲しみや苦しみ、あるいは嫉妬など負の感情のみにとらわれているうちは「自分だけを愛している」証拠かもしれません。ショーンのように達観することはなかなか難しいけれど、「自分以上に愛した人ではなかった。ただそれだけのことだ」と思えるようになったら、少しは失恋の痛みが和らぐかもしれませんね。

 

 

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